凡人のための地域再生入門

「凡人のための地域再生入門」という本が面白かった。東京で「何となく」会社員として働いていた地方出身者が地元の友人とともに地元を盛り上げていく話。主人公の実家で営まれていたお店を母親がたたもうとする際にその手続きをし始めて地元に頻繁に戻るようになるのだが、どんどん地元の友人や経営に引き込まれていく感じが面白い。

それだけなら大したことはないのかもしれないが、ストーリー以上に、本のそこかしこに散りばめられている黄色い四角囲いの記事がさらにこの本の価値を高めている。経験に基づいた現実に即したコメントやアドバイスがたくさん散りばめられているのが明らかだからだ。

この本を読むと、どんどん地方が面白く思えてくる。次の部分がとても印象的。

不安がないといえば嘘になる。しかし、かつて輝いて見えた東京は僕にはもう色あせて、戻りたい場所ではなくなっていた。(p.155)

 多くの人にとって、実は東京以外に輝ける場所があるのではないかと思わせるに十分な本。安易に考えてほしくないが、地方だけでなく、今と違ったことがやってみたい人は一度読んでみるとよい気がする。